ウィリアム・モリスの世界

「役に立たないものや美しいと感じないものを家においてはいけない」

この言葉は１９世紀のイギリスで活躍したデザイナー、ウィリアム・モリスの言葉です。
デザイナーとしての顔だけでなく、詩人、思想家など様々な顔を持つ彼のデザインが160年を経た現在でもなお愛されるのはなぜなのか、考えてみました。

ウィリアム・モリス

ウィリアム・モリス（1834-1896）は、ロンドン郊外の裕福なブルジョア家庭に生まれました。
幼い頃より中世のロマンスの世界に憧れ、自然に囲まれた大邸宅でのびやかで牧歌的な感性を育みました。
成長した彼は、当時の新進社会評論家ラスキンの著書に感銘を受け、建築、文学、美術の世界にのめり込んでいきます。

「芸術と仕事、そして日常生活の統合」という理念を掲げたモリス商会を設立し、大量生産ではない手仕事の美しさや、職人の技術を大切にした「アーツ・アンド・クラフツ運動」を牽引しました。

モリスの有名なデザインと魅力

「いちご泥棒（Strawberry Thief）」や、「ウィローボウ（Willow Bough）」などに代表される彼のデザインは、自然の植物や花をモチーフにした繊細で豊なパターンが特徴のテキスタイルデザインです。

複雑なのに調和がとれていて、眺めていると心が穏やかになる不思議な力を感じさせます。
表情豊かなデザインは懐かしさもあり、居心地の良さも感じさせます。
自然をテーマにしたパターンとリピートデザインは、今も多くのファンを魅了し「美しいものに囲まれた暮らし」を提案してくれます。

現代の暮らしにモリスを取り入れる

ウィリアム・モリスのデザインは、今もインテリアや雑貨で取り入れることができます。
先ほど紹介の写真は壁紙です。
以前は輸入壁紙でしか出会えなかったモリスの壁紙も、現在は国産の壁紙でインテリアに取り入れることができます。
版権の都合上、オリジナルのカラーとは違い手を加えてありますが、日本のインテリア、風土に合った仕様にされているので、和室であってもバランスよく取り入れることができます。

マイハウスモデルハウス：和室との組み合わせ

また、水回り用床材や、カーテンやクッション、ラグマットなどもあります。
最近では100円ショップの文房具やキッチングッズなどにもモリスのデザインが取り入れられていて、びっくりするくらいです。
そのくらい、人気のあるデザインなのですね。

ただ、モリスのデザインは柄が細かく華やかで存在感があります。
複数アイテム使うと「うるさく」見えてしまうことがありますので、まずは１～２箇所に絞って取り入れることがオススメです。
また、色味を揃えるのもいいですね。
モリスのデザインは自然がモチーフなので、ナチュラルな空間にとてもよく合います。
無垢材を使用しているマイハウスの家とも相性バッチリなんです。
新築の壁紙として採用する場合には、洗面スペースやトイレなど、色があふれにくい場所におススメすることが多いです。